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第240話

「それって数日前のことじゃなかった?もう何日も経ってるから?」

「それで、そんなに違ってくるなのか?」と幸太朗は答えた。

「とにかく、やる気があるなら明日連絡して」

そう言われた後、向こう側はしばらく沈黙していた。

瀬玲は待ったが、返事が来ないままだったため、目を細めて言った。「幸太朗、もしかして後悔してるんじゃないの?奈々のために出てくるなんて言ってたのは口だけだったのね。男ってどうせ嘘ばかりつくんだと思ってたわ。あなたみたいな人には、特にそう思ってた」

彼女の言葉が幸太朗を刺激したのか、不機嫌そうに言い返した。「後悔だって?俺が後悔するか?お前まさか俺が女を殴らないと思ってんのか?」

幸太朗の突然の怒りに、瀬玲はびっくりしてしばらく反応できなかった。

「私はただ、君がもう奈々を助けたくないのかと......」

「彼女を助けるが、でもお前を助ける気はない。だから俺と話すときにいい加減な態度を取らないでくれ。そうしないとお前も一緒に片付けることになる。分かったな?」

電話を切った後、瀬玲の心には「クソ野郎」という言葉しか浮かばなかった。

幸太朗はまさにクソ野郎のような男だ。奈々がこんな人を巻き込んだせいで、いつか痛い目を見るだろう。でも......彼は彼なりに使いみちのある人物でもある。

こんな短気な性格と粗暴な態度を持っていれば、何かやらかしても、すべての責任を彼に押し付けられるだろう。性格、出身だけで悪人に見えるのだ。

翌日

弥生は一晩中ほとんど眠れず、早朝に起きて瑛介を待ち、彼の車に乗ることにした。

朝食を食べていると、瑛介は彼女の顔色が昨日よりも疲れていることに気付いた。

それだけでなく、彼女は朝食に手を付ける気配もなく、スプーンを持ち上げて唇に運ぶものの、何かを思い出したようにまたスプーンを下ろしていた。

その繰り返した姿を見て、瑛介はついに口を開いた。「君は朝食を食べないつもりか?」

彼の言葉で我に返り、弥生は自分が朝食を一口も食べていないことに気づいた。その間に瑛介はすでに食べ終わっていた。

「心配いらないよ、お医者さんが信頼できるから」瑛介は言った。

「うん、分かってるわ」弥生は無理に微笑んで見せた。

分かっているのに、体と心が言うことを聞かないと弥生は感じていた。

結局、朝食は少ししか食べず、それも瑛介に見
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